心肺蘇生法のQ&A
Q2:「反応がなく、普段どおりの呼吸がある傷病者」の場合はどうすればよいですか?
Q3:心停止でない傷病者が普段どおりでない呼吸をする状況にはどのようなものがありますか?
Q7:新型コロナウイルス感染症の対応はどうしたらよいですか?
Q10:反応と普段どおりの呼吸がある傷病者にAEDを使用するとどうなりますか?
Q12:AEDがある場合はAEDと心肺蘇生はどちらを優先しますか?
Q13:AEDを使用してショックの必要がない場合はどうしますか?
Q14:AEDの電極パッドを貼るときには傷病者の衣服はどうしたらよいですか?
Q15:雨などで傷病者が濡れている場合でもAEDは使用できますか?
Q16:AEDは何歳から使用できますか?
また、小児用パッドは何歳までに使用しますか?
Q17:未就学児の場合で小児用パッド(小児用モード)がない場合は
どうしたらよいですか?
Q18:AEDがない(場所が分からない)場合はどうしますか?
Q20:もっと詳しい救急講習を受けるにはどうすればよいですか?
A:胸腹部の動きを見て、明らかに呼吸があるとわかる状態(呼吸があれば胸腹部は上下に一定の
動きが見られます)をいいます。それ以外は「普段どおりの呼吸」がないと判断します。心臓が
止まった直後は、しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸が見られます。これは「死戦期呼吸」
と呼ばれ「普段どおりの呼吸」ではないと判断して心肺蘇生を開始します。
救急通報時、「呼吸はあります」との情報で出動した場合でも、現場到着時に呼吸がない場合が
あります。通報者が前述の状態「死戦期呼吸」を呼吸はできていると感じてしまう傾向にあります。
一見呼吸しているように見えても有効な呼吸ではないことがあるので、判断に迷う場合は呼吸なし
として、心肺蘇生を開始して下さい。
Q2:「反応がなく、普段どおりの呼吸がある傷病者」の場合は
どうすればよいですか?
A:「回復体位」をとります。回復体位(側臥位)は傷病者を横向きに寝かせた体位です。呼吸が妨げ
られないように体を横向きにし、下あごを前に出して気道を確保し、上側の手の甲に傷病者の顔を
乗せ、嘔吐しても自然に吐物が流れ出るように口元を床に向けます。さらに上側の膝を約90度曲げ、
姿勢を安定させます。
救急隊等に引き継ぐまで、普段どおりの呼吸があるか随時確認を行い、普段どおりの呼吸がない、
またはわからない場合には体を仰向け(仰臥位)に戻し、心肺蘇生を開始して下さい。
Q3:心停止でない傷病者が普段どおりでない呼吸をする状況にはどのようなものがありますか?
A:「普段どおりでない呼吸」は心停止以外にも薬物中毒、てんかん、失神、脳卒中、
低血糖などでも生じます。反応がない場合には心肺蘇生の対象となります。
A:傷病者に対する心肺蘇生は救急隊などが到着するまでの短時間に限定されるため、
心停止でない傷病者に心肺蘇生を行っても重大な障害が発生する可能性は低いです。
A:胸の真ん中にある胸骨の下半分を重ねた両手で強く、速く、絶え間なく圧迫します。
手の付け根の部分で胸骨を圧迫します。両手の指を組んで指を上に引き上げるようにすると
手の付け根の部分に力が集中します。両肘をまっすぐに伸ばして真上から垂直に傷病者の胸
が約5センチ沈むまでしっかり圧迫します。1分間に100~120回の速いテンポで連続
して絶え間なく圧迫します。圧迫と圧迫の間(圧迫を緩めるとき)は、十分に力を抜き、
胸が元の高さに戻るようにします。
A:心肺蘇生の際の口対口での人工呼吸によって感染する危険性は極めて低いとされています(新型
コロナウイルス感染症を除く)。しかし、一方弁付きの感染防護用シートなどを使用して、直接、
口と口が触れないようにするほうが安全です。血液への接触は時に感染の原因となるため、
傷病者が出血している場合はその血液に直接触れないようにします。止血を行う場合はビニール
袋などを使用して直接血液に触れないようにします。
Q7:新型コロナウイルス感染症の対応はどうしたらよいですか?
A:胸骨圧迫のみの場合を含め、心肺蘇生はエアロゾル(ウイルスなどを含む微粒子が浮遊した空気)が
口から出てくる可能性があるため、新型コロナウイルス感染症が流行している状況においては、すべて
の心停止傷病者に感染の疑いがあるものとして対応します。成人の心停止に対しては、人工呼吸を行
わずに胸骨圧迫とAEDによる電気ショックを実施します。胸骨圧迫を開始する前にハンカチやタオル
などがあれば傷病者の鼻と口にそれをかぶせるようにします。マスクや衣服などでも代用できます。
子供の心停止に対しては、講習を受けて人工呼吸の技術を身に着けていて、人工呼吸を行う意思が
ある場合には人工呼吸も実施します。(子供の心停止は、窒息や溺水など呼吸障害を原因とすることが
多く、人工呼吸の必要性が比較的高いため)
A:傷病者がいる場所が危険な場所であれば傷病者を安全な場所に移動させる必要があります。
しかし、移動する際に自身が危険にさらされる可能性が高いと感じる場合には、積極的に
移動させる必要はありません。心肺蘇生が必要な傷病者がベッドやマットレスなどやわらかい物の
上にいた場合、固い床などに移動させます。移動が困難な場合はその場で心肺蘇生を行います。
A:「反応がなく、普段どおりの呼吸がない傷病者」に使用します。
Q10:反応と普段どおりの呼吸がある傷病者にAEDを使用するとどうなりますか?
A:AEDは安全性が高いため、適切に使用すれば普段どおりの呼吸がある傷病者に対して「電気ショック
が必要」と間違えて判断することはありません。しかし、適切に使用していない場合は誤作動を起こす
可能性があります。普段どおりの呼吸がある傷病者にAEDは装着しないようにしてください。
A:AEDは一般市民で講習などを受けていない方でも使用可能です。電源ボタンを入れると
(又はふたを開けると)機器が音声メッセージなどにより、救助者に使用方法を指示してくれます。
慌てずに適切に使用するためには講習などを受けておくことをお勧めします。
Q12:AEDがある場合はAEDと心肺蘇生はどちらを優先しますか?
A:救助者が1名の場合は、AEDを優先して行います。救助者が複数の場合は同時に行います。
AEDパッドを貼り付ける際にも可能であれば胸骨圧迫を継続します。
Q13:AEDを使用してショックの必要がない場合はどうしますか?
A:「ショックは不要です、直ちに胸骨圧迫を行ってください」などのメッセージが流れます。
メッセージに従って心肺蘇生を再開してください。電極パッドはそのままはがさずAEDの
電源も入れたままにしてください。AEDは2分おきに自動的に解析を行いますので音声
メッセージに従ってください。
Q14:AEDの電極パッドを貼るときには傷病者の衣服はどうしたらよいですか?
A:電極パッドは直接肌に貼り付けるため、衣服をはだける必要があります。公衆の面前で
あっても救命のためには必要なことです。女性などの場合は、できるだけ人目にさらされ
ないようにするなどの配慮が望まれます。
Q15:雨などで傷病者が濡れている場合でもAEDは使用できますか?
A:使用できます。傷病者の胸が濡れている場合は、タオルなどで拭き取ってから電極パッドを
貼り付けます。体全体を拭き上げる必要はありません。
Q16:AEDは何歳から使用できますか?
また、小児用パッドは何歳までに使用しますか?
A:AEDは年齢に関係なく使用できます。AEDには成人用と小児用の2種類の電極パッドが
入っている場合や、AED本体に成人用モードと小児用モードの切り替えがある場合が
あります。未就学児(おおよそ6歳まで)には小児用パッドや小児用モードを使用してください。
小児用パッドの中には胸と背中に張るタイプのものもあります。
小学生以上は成人用パッドまたは成人用モードを使用します。
Q17:未就学児の場合で小児用パッド(小児用モード)がない場合は
どうしたらよいですか?
A:成人用パッドまたは成人用モードを使用します。未就学児にとっては成人用パッドでの
除細動(電気ショック)は心臓への負担が大きいですが、除細動が必要な場合は成人用
パッドでも除細動を行うほうが救命の可能性が高くなります。未就学児に成人用パッドを
使用する際は、電極パッド同士が接触しないように貼ってください。成人に対して小児用
パッドや小児用モードを使用してはいけません。エネルギー量が小さく除細動の効率が
低下します。
Q18:AEDがない(場所が分からない)場合はどうしますか?
A:傷病者の反応がない場合には、まずは119番通報します。その後に呼吸を確認し、
普段どおりの呼吸でない場合はAEDを使用しない心肺蘇生を行います。
A:市民が行う心肺蘇生とAEDについて成人と小児で異なるのは、(1)胸骨圧迫の深さの表現
(2)AEDの小児用機能(電極パッド、モード)の2点に限られます。小児の胸骨圧迫の深さは
胸の厚みの約3分の1が沈み込むまでとなります。圧迫は体格に応じて両手または片手で行います。
Q20:もっと詳しい救急講習を受けるにはどうすればよいですか?
A:玉野市消防本部では各種救急講習を開催しています。詳しくはホームページをご確認のうえ、
玉野市消防本部警防課にお問い合わせください。