豊かな海を目指して
玉野市が面する瀬戸内海の現状
瀬戸内海は豊富な海産資源を誇り、一年を通して穏やかな気候に恵まれ、多くの島々が並んでいます。その気候と景観は沿岸に住む人々に限らず、多くの人に親しまれてきました。玉野市には瀬戸内海が誇る多島美を楽しめるスポットが多数存在し、その島々への玄関口として古くから重要な拠点となるなど、瀬戸内海と玉野市は深く関わりあってきました。
しかし、近年、瀬戸内海では漁獲量の減少や、漁獲される魚類の変容、大きく広がっていた「藻場」(海藻や海草が茂っている場所)の急速な減少など、漁業を営む人々にとっても、その漁獲物を享受する人々にとっても深刻な問題を抱えています。
こうした現状を踏まえ、多種多様な生き物が生息する美しく豊かな瀬戸内海を未来に残すために、市や県、漁業者と子どもたちが取り組んでいる活動を紹介していきます。
玉野市内で実施している取り組み
多様な生き物の住む「豊かな海」を未来に残すために、実際に次のような取り組みが行われています。
種苗(しゅびょう)放流
「種苗放流」とは、人工的に育成した魚介類を成育に適した海域に放流することをいいます。玉野市や岡山県、漁業者が協力して、県の施設で育成したガザミ、クルマエビ、ヨシエビ、オニオコゼの種苗放流を行っています。
さらに、市では独自に市魚であるメバル(カサゴ)の放流も行っており、地元の小学生も一緒に放流を体験します。
写真はヨシエビ放流の様子です
放流したヨシエビが勢いよく海中へ泳いでいきます
藻場の再生
藻場とは、海藻(海草)が茂る場所のことで、生態系を支える小さな魚たちの住む場所やえさ場として重要な機能を担っています。
瀬戸内海での漁獲量の減少は、「藻場」が減っていることが大きな要因の一つと考えられています。こうした藻場の減少を食い止め、再生するための取り組みを行っています。
市では漁業者と連携し、藻が着生しやすい魚礁(人工的に作られた魚のすみか)を平成29年から市近海に設置しており、その数は663基に及びます。海藻の定着を促すとともに、小魚やエビ、カニ、タコなどのすみかとなっています。放流された稚魚のすみかが確保されるため、種苗放流と合わせて取り組んでいます。
写真は設置の様子です。勢いよく海中へ投げ入れます。
ノリすき体験
地元の小学生が毎年ノリすき体験をしています。漁業者に教わりながらノリを板状にし、自分たちで作ったノリは翌日の給食にて提供されます。
また、体験後には乾燥加工場の見学も行い、海で収穫したノリがどのように普段目にしている板状のものになるか説明を受けながら学びます。
この体験は、県内有数の生産量を誇っている地元のノリについて学び、触れることで、地元の水産業について興味を持ってもらうきっかけとなっています。
写真は児童にノリの養殖や加工について説明しているところです。ノリすき体験の前にまずはノリについて学びます。
児童がすいたノリです。この後乾燥させ、翌日の給食に自身ですいたノリを提供し、食べてもらいます。
私たちにできること
豊かな瀬戸内海を取り戻すために、私たちができることは何でしょうか。
- ゴミの不適切な処理(ポイ捨て等)をしない。
(海、川付近だけでなく、街で発生したものも海に流れ着きます) - 地域の清掃活動に参加する。
- 生活排水を適切に処理する。
- 海の環境について、興味を持つ
上に示した心がけや行動は、今日からでも取り組めるものがあります。今ある海をより良いものにして未来に残すため、改めて私たちにできることを考え、できることから始めていくことが大事なのではないでしょうか。


