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玉野で活躍する人「たまのスター」Vol.1 「邦美丸」

印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 ページID:0040489 更新日:2024年4月24日更新

 本市は、“晴れの国おかやま”の中でも日照時間が長く、「晴れのまちたまの」と言われています。空が晴れているので、夜空に輝く星も美しく見えます。
 今回から玉野で星のように光り輝き、活躍する人「たまのスター」のインタビュー記事を連載します。
 第1回は、国内初の完全受注漁を始め、様々なコンテストで13冠を達成するなど、本市の水産業で夫婦で活躍する邦美丸の富永邦彦さんと美保さんを紹介します。

(取材日3月27日)

玉野で活躍する人「たまのスター」vol.1 !

とみながくにひこさん みほさん
富永 美保さん、邦彦さん

仕事内容は。漁をしている様子

 小型底びき網漁と、のり養殖をしています。畑で言うと二毛作で、4月から9月は底びき網漁、10月から翌年3月まではのり養殖をしています。
 春はヒラメやコウイカ、夏はシタビラメ、秋はエビ、年中タイやクロダイ(チヌ)がとれます。

今までの経緯は。魚の詰め合わせセット

邦彦さん 平成21年に2人の名前から「邦美丸」として漁を始めました。しかし、1日16時間も漁に出る生活が自分には続けられないと翌年漁を辞めました。その後3年間は会社に勤めましたが、もう一度漁師をやっていこうと、市場に卸すだけでなく、魚のしめ方や付加価値のつけ方などを勉強しながら、自分たちで魚を販売する方法(直販)を取り入れました。直販を始めてからは、売上げは上がりましたが、働く時間が長く、日本全体で問題となっている魚の水揚げ量が減ってきたことを自分たちも実感しました。
2人 その中で、コロナ禍となり、直販のお客様である飲食店からの注文がゼロになりました。その反面、在宅ワークなどで家にいることが多くなった一般のお客様から「魚をおろしてみたい」と注文が増え、アプリやECサイト(電子商取引)を活用し、北海道から沖縄まで広く注文が入るようになりました。
 また、令和3年からインスタグラムを始め、最初はフォロワー数が270程度でしたが、テレビ出演前には2,000、出演後の現在は4,900と増えてきています。インスタグラムでは漁師の生活や、魚のしめかた、のりの生産方法などを発信しています。注文やお客様とのコミュニケーションツールとしても活用していて、その中で関東在住の親子が「漁の様子を見たい」と玉野に来てくれることになったり、海がない県のお客様から「海を守りながら漁をしている邦美丸から魚を購入することで、自分たちも海を守れたら」と言われたりなど、多くの出会いと発見があります。
 令和4年から市場へ卸すことを辞め、直販のみに舵をきりました。「完全受注漁」の始まりです。コロナをきっかけに、思い切ったことができました。

受注漁とは。受賞の様子

 漁師は一般的に魚をとって、とれた分だけ売りますが、「受注漁」は、お客様から注文があった分だけ漁をします。そのため、魚の乱獲を防ぐことができます。必要な分だけとるので、漁に出る時間を減らすことができ、船の燃料や網などの道具の消耗も減らせます。それらは、石油でできているので、CO2の削減にもつながります。邦美丸は、受注漁のみで操業しているので「完全受注漁」と呼んでいます。注文数よりも多く魚が網に引っかかったら、海に逃がしているんですよ。
 漁に出る時間が減った分は、海の資源を守るためにごみ拾いや、今まであまり取れなかった家族の時間に充てられるようになりました。 海の資源を守ることは、豊かな海につながり、それが魚を育てたり、おいしいのりになったりするなど、好循環につながります。
 完全受注漁がSDGsの促進や、働き方改革になると、その取組が評価されるようになりました。
 令和5年5月に初めて賞をいただいてから、令和6年3月まで、13もの賞をいただきました。また、メディアにも70以上取り上げてもらい、反響がありました。
 メディアに出ることで、漁に出られず、売上げにはつながりませんが、​共通する生産者の悩みの解決方法や、一次産業で働く人たちの後押し、個人経営の人たちが社会的に評価される後押しになればと思って発信を続けています。
 その結果、全国から「受注漁を学びたい」と依頼が来るようになりました。これは、「漁師を夢ある職業にしたい」と働き方改革をしてきた私たちにとって、とてもうれしいことです。北海道から若者が来たり、小学5年生の子が体験をしに来たりと交流が増えています。
 また、同じく受賞している人たちとも交流を深めています。先陣を切って様々なことに挑戦しているため、多くのことを教えてもらえて視野が広がりました。

やりがいや働くときに大切にしていることは。

 「かっこいい大人になる」ということを大切にしています。
 私たちには子どもが3人いますが、子どもたちにかっこいい親の背中を見せられるようにするだけでなく、多くの子どもたちに「かっこいい大人」の姿を見せられるように色々なことに挑戦していきたいと思っています。
 正直者がバカを見ない時代へ、大人の魅力を伝えていきたいです。

今後の展望は。富永さん家族

 現在、市の副業人材活用推進事業を活用していて、ビジネスの最前線で活躍されている人から、販売戦略やマーケティングのノウハウ、知識を教えてもらっていて、販路拡大をする予定です。
 また、受注漁の体験だけでなく、子どもたちに「おさかな学校」として食育を実践していきます。
 これは、10年後自分が働くことを考えたときに、水揚げ量減少などの漁業界の問題は日本の社会問題であり、その根本はすべて「教育」につながっているため、子どもたちに食育することで解決できるのではと考えたことがきっかけです。
 現在は生産者と消費者の間に溝があり、都市と地方も分断されています。誰が作ったか、誰がとったか分からないから食べ物を残したり捨てたりしてしまうことも、「あの○○さんが育てたんだよ」など、生産者の顔が分かると、「じゃあ1口食べてみよう」「残さないようにしよう」など思うのではないでしょうか。食品ロスが減ることは将来「あなたの家の食卓を守ること」につながります。そのためにも教育は大切だと思います。
 そして、「チーム玉野」としてまち全体で解決して「たまのモデル」として全国に広げていきたいです。

情報発信室より

 富永さんは、受賞のスピーチで「岡山県玉野市からきました」と、毎回玉野市をPRしてくださっているそうです。
 話を聞く中で、邦彦さんが上の2人のお子さんの時にはできなかった保育園のお迎えに行けるようになったことや、お子さんが夏休みの作文で「受注漁をはじめて家族の時間が増えた」ことを書いた作文が優秀賞に選ばれたこと、保育士になりたいと言っていた娘さんが経済を学んで父母の手助けをしたい言い出したことなど、働き方を変えると家族の時間が充実して、子どもたちにも良い影響があるのだと、あらためて気づかされました。
 これから色々なことに挑戦される、お二人の活躍を楽しみにしています。

掲載場所

広報たまの令和6年5月号

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