本市は、“晴れの国おかやま”の中でも日照時間が長く、「晴れのまちたまの」と言われています。空が晴れているので、夜空に輝く星も美しく見えます。
玉野で星のように光り輝き、活躍する人「たまのスター」のインタビュー記事を連載しています。
第14回は、玉野市出身のNHK岡山放送局アナウンサー井上あさひさんです。
(取材日 4月21日)
井上あさひさん
小学生のころ、テレビのドラマを見て、アナウンサーに憧れを持ちました。でも、その時は、恥ずかしくて周りにアナウンサーになりたいとは言えませんでした。高校生のころ、毎朝、NHKを見ていましたが、アナウンサーが笑顔で語りかけてくれて、「今日1日がんばろう」と思うことができました。こんな風に誰かの気持ちを支えることができたらすてきだなと思い、アナウンサーを目指そうと思いました。
同時に、小学校の先生にも同じくらい憧れていたので、大学では教育学部を選び、教育実習にも行って、教員免許を取得しました。その過程の中で、自分は学んだり、聞いたりしたことを人に伝える立場の方が合っていると思い、アナウンサーを目指すことにしました。
アナウンサーの試験を受ける中で、周りの人はボランティア活動や世界一周旅行など、いろいろな経験をしていましたが、私には自分をアピールできるような材料がないことに気づきました。それでも自己PRを考えていく中で、なにげないエピソードでも、自分がどういう人間なのかを相手にきちんと伝えることができたら、自分をしっかりアピールできることに、途中で気づきました。後輩と話すとき、特別なものがなくても私という事例があるから大丈夫と話すことがあります。
私の母はNHKが好きで、家のテレビではずっとNHKが点いてたので、こんな番組を担当したいなと思い浮かぶのはNHKばかりでした。希望する局に入ることができたことは、幸せなことだと思います。
月曜日、火曜日、水曜日には夕方のニュース・地域情報番組「もぎたて!」の生放送があるので、放送前には本番に向けての準備があります。今日はどんな項目や企画、演出があるかを事前に打ち合せして、原稿を他の出演者とどう読み分けるかや、時間を計算してどこでどんなコメントを入れるかを考えます。
17時ごろからリハーサルを行い、カメラの動きや原稿の確認をして実際に原稿を読んで、時間を計り、例えば放送時間が30秒足りないからどこで調整するかをスタッフみんなで考えてから本番を迎えます。
また、お昼のテレビニュースを担当することもあります。
他には、中国地方向けのラジオを担当したり、先日は岡山県内向けのラジオ放送に出演したりしました。私はラジオを聞くことが大好きなので、今まで経験したことがないラジオのパーソナリティを担当して、緊張しましたし、自分がいざ話すとなると、言葉だけで伝えることがいかに難しいか痛感しました。今回は原稿を読んで、時間もぴったり終えることができたのですが、制限の少ないフリートークや番組最初の時候のあいさつをするとなると難しいと改めて痛感しました。
テレビ画面に出演した瞬間からプロとして振る舞わなければならないということが、いかに重いことか、新人時代に痛感しました。至らない点もあったと思いますが、広い心で見守ってくれた視聴者の皆さんや先輩方には今でも感謝しています。
全国放送のニュース番組など舞台が大きくなったときに感じたことは、仕事への意識の高い番組スタッフから「あの人はきちんと仕事をする人」、「誠実に向き合う人」という信頼を得ることの大切さでした。丁寧に仕事を積み重ねるなかで、「仕事に対しての向き合い方」や「自分自身がどうしていきたいか」ということを考えることができ、それは貴重な経験となり、今の自分につながっていると思います。
そのような思いで作った番組を見た皆さんから「いつも番組を見てるよ」などの声をかけていただいたときは、頑張りが伝わったのかなと思い、アナウンサーをしていて嬉しい瞬間の一つです。
海も山も好きで眺めるだけでホッとします。ゆったりとした空間の中で、自分が育まれた気がします。ふるさとにしかない空気感を感じ、帰るところがあるということが、こんなにすてきなことだと、改めて感じています。これまで数日戻ってくることはありましたが、改めてふるさとに住むことで、ふるさとが自分を支えてくれたおかげで、自分を見失わずに強い気持ちで仕事に向き合ってこられたと思っています。
特に、地元の皆さんに「おかえり」と声をかけてもらえると、ふるさとが自分を支えてくれていることを強く感じます。
渋川海岸や渋川マリン水族館も好きで、ウミガメや魚を見た子どもの反応を見るのがとても好きです。
生放送での現地からの中継やロケに出てみたいです。外での中継やロケは主に若手のアナウンサーが出ることが多く、後輩たちの仕事を見るのも好きですし、皆さんの仕事を乱さないようにとは思いますが、最近、機会がなかったので現場に出てみたいなと思っています。最近は、後輩にアドバイスを送ったり、見守ったりすることが多くなりましたが、初心に戻ってパワーアップした放送ができるかな、若手の頃と違う、今の自分が外に出てどんな仕事ができるかなと思っているのでいつか、どこかでできたらなと思います。まずは「もぎたて!」の中で、その日のニュースについて取材をして、ニュースを広げていくことから始めたいと思います。
また、番組の中で岡山ゆかりの人にインタビューするコーナーが新しく始まるので、どんな人と出会って、話しを引き出せるのかがとても楽しみです。
井上あさひさんは、普段テレビで見ているとキリッとした印象でしたが、インタビューさせていただいた際は、ずっと笑顔で受け答えしていただいたのが印象的でした。話の中で、番組制作に対しての強い思いや決意が言葉の端々に感じられ、番組制作の裏では大変な思いをされてきたことが垣間見られました。今回の取材相手の井上さんは、インタビューや原稿のプロであり、インタビューから記事作成までとても緊張しました。
井上さんの今後のご活躍も楽しみにしています。
広報たまの令和7年6月号