本市は、“晴れの国おかやま”の中でも日照時間が長く、「晴れのまちたまの」と言われています。空が晴れているので、夜空に輝く星も美しく見えます。
玉野で星のように光り輝き、活躍する人「たまのスター」のインタビュー記事を連載しています。
第5回は、経営発展支援事業補助、経営開始資金を受け、ブドウ農家として新たに農業を始めた、ゆめさきファームの井上将誠さんと妻の恭子さんを紹介します。
(取材日7月29日)
ゆめさきファーム井上将誠さんと恭子さん
令和4年8月から農業を始め、現在はブドウ(シャインマスカット、マスカットジパング、ゴールドフィンガー、瀬戸ジャイアンツ、オーロラブラック、マリオ、ナガノパープルなど)を8・9割、柿(麗玉)やレモン(璃の香)を1・2割栽培しています。
ブドウの栽培は冬に土作りや剪定を行い、春に芽が出ると、その後は、芽や花、葉を落とすなどしてブドウの房の大きさや形、数を整えます。雨に濡れるとブドウが傷むので、房に袋をかけます。ブドウの収穫時期は8・9月で、その後、秋に柿、レモンを収穫します。
農業を始めるきっかけは、2人とも医療系の仕事をしていて、夜勤もあり、勤務形態も不規則だったので、子どもとの時間をもっと作りたいと思ったことです。子どもが小学校へ入学するタイミングで思い切って決心しました。
その中で、ブドウの栽培を選んだ理由は、主な作業はブドウのつぶや品質の管理であり、女性でも作業がしやすいこと、岡山県の気候や栽培に必要な農地の面積など条件に合っていたからです。栽培方法は近所の農家に教えてもらったり、自分で調べてブドウ栽培をしている岡山の農園を見つけ、そこで研修を受けたりして習得しました。研修先では、同じようにブドウの栽培を始めようと準備をしている若手がいて、今でも連絡を取り合い、情報交換をしたり、良い刺激を受けたりしています。悩んだらすぐに聞けるので心強いです。
農業を始める際に、農地は、高齢化などが理由で同じ地域に耕作放棄地が増えていることもあり、手つかずになっている農地を数年かけて整備しました。耕作放棄地には草木が生えていたので、農地に戻すのはとても大変でした。
今も、ブドウなどの栽培と並行して農地を広げるために、耕作放棄地の整備を少しずつ進めています。
また、ビニールハウスの設置費用は当初の資金として、国や県の補助制度を利用させてもらいました。一からブドウの栽培を始めたこともあり、初期投資には費用がかかるため、とても助けになり、この制度が農業を始める後押しになりました。これから農業を始めようと考えている人は、補助制度も活用すると良いと思います。
子どもと一緒に過ごす時間が格段に増えました。子どもたちも一緒に作業したり、旬のものを食べたりできるようになったので喜んでいます。秋には、集めた落ち葉で焼き芋をするなど、自然体験もしています。
また、ブドウを食べてくれたお客様から「味がおいしい」と評判で励みになっています。
数は少ないですが、9月中は道の駅みやま公園で直売しています。
自然や天候の影響を受けることも多く、ビニールハウスが台風や強風で壊れるなど大変なこともありましたが、肥料にこだわり、味や食感の良い‟おいしいブドウ”を作っていきたいです。今はまだ、ブドウの木が若いこともあり、ブドウの数は少ないのですが、今後は木の成長と共に、出荷数やネット販売など販路を増やし、みなさんの手に取ってもらいやすいようにしていきたいです。
お二人とも、快くインタビューを受けていただき、暑い中でしたが、ブドウの紹介や作業などを見せていただきました。取材時はブドウが一房一房、袋が掛けられていていて、とても手間が掛かっていて大切に育てられているのが分かりました。撮影時のために、ブドウから袋を外してもらいましたが、収穫はまだ先の時期にもかかわらず、とても艶々してきれいだったのが印象的でした。
農業をまだ始めたばかりのお二人ですが、これまで2回もビニールハウスが台風などで壊れた話を聞き、自然の脅威に苦労が絶えない中、おいしいブドウを作るために、がんばっている姿に頼もしさを感じました。
今後、ゆめさきファームのブドウが新たな玉野市の特産になるよう、お二人の活躍を応援しています。
広報たまの令和6年9月号